INTRODUCTION

70年間待望されてきた
インド究極の映像絵巻が、
いま世界に解き放たれる!
1950年、インドに伝説的な歴史小説が誕生した。10世紀、インド南部:タミル地方に 実在したチョーラ王朝の宮廷を舞台にした愛憎と陰謀、国の存亡を懸けた戦いの物語“Ponniyin Selvan(ポンニ河の息子)”は、瞬く間に、誰もが知る一大ベストセラーとなった。
それから70年もの間、幾度も映画化が試みられたが、その壮大なスケールから難航を極め、撮影技術の進化やインド映画界の大作主義を背景に、遂に2部作に及ぶ一大映像絵巻として世に放たれる!

10世紀、南インドで繁栄を極めるチョーラ王朝。しかし王が病に伏し、臣下たちはその息子ではなく、従弟を次期国王として擁立することを画策する。
2人の王子が領土拡張のためそれぞれ北方と南方で戦いを繰り広げる中、父と共に都に残る聡明な王女。遠く離れた3人だが、不穏な動きを察知し、共にこれに対抗すべく密使を送り出す。密使に選ばれた若く陽気な騎士・デーヴァンの壮大な旅が始まった…

後に王朝の黄金期をもたらすラージャラージャ1世の若き日を描く原作の前半となる本作では、様々な登場人物の交錯する思惑と、複雑な関係が、絢爛豪華な舞踊、壮大なスケールの戦闘など圧倒的な映像美と共に描かれる。
その名前で観客が殺到する監督となった世界的巨匠、マニラトナム監督のもと、日本でも公開された『ミモラ-心のままに-』(99)、『ロボット』(10)など数々の作品で“ボリウッドの女王”と称されるアイシュワリヤー・ラーイ、『囚人ディリ』(19)でハードなアクションを披露したカールティなど、南インドを代表する豪華キャストが演じる個性的なキャラクター達の愛憎と権謀術数渦巻く宮廷ドラマは、インド版「ゲーム・オブ・スローンズ」と話題を呼び、2022年インド国内興行収入第3位となる大ヒットを記録した。
70年の時を経て、インド:タミル語圏の悲願ともいえる超大作の、めくるめく映像世界を劇場で体感する時がやってきた! 

STORY

10世紀、南インドで繁栄を極めるチョーラ王朝。しかし、首都タンジャイでは、スンダラ王(プラカシュ・ラージ)が長く病に伏し、パルヴェート侯(R・サラトクマール)を中心とした臣下たちは、王子ではなく従弟を次期国王として擁立する陰謀を進めていた。長男のアーディタ(ヴィクラム)と次男、アルンモリ(ジェヤム・ラヴィ)の2人の王子が領土拡張のためそれぞれ北方と南方で戦いを繰り広げる中、聡明な王女クンダヴァイ(トリシャー・クリシュナン)は父と共に都に残り実権を握っていた。遠く離れた3人だが、不穏な動きを察知し、共にこれに対抗すべく密使を送り出す。
一方、パルヴェート侯の美貌の妻、ナンディニ(アイシュワリヤー・ラーイ)は、夫を陰で操り、チョーラ王朝に揺さぶりをかけようと画策していたが、その裏には、アーディタとの過去の悲恋と確執が深く影響を及ぼしていた…
愛憎と陰謀が渦巻くチョーラ王朝を舞台に、密使に選ばれた若く陽気な騎士・デーヴァン(カールティ)の壮大な旅が始まろうとしていた。

CHARACTER

若き騎士デーヴァン(カールティ)
傷心の猛将第一王子 アーディタ(ヴィクラム)
義に生きる賢人第二王子 アルンモリ(ジェヤム・ラヴィ)
聡明なる王女クンダヴァイ(トリシャー・クリシュナン)
復讐の美女ナンディニ(アイシュワリヤー・ラーイ)
若き騎士デーヴァン(カールティ)
アーディタの親友かつ忠実な部下。かつて独立した小国を300年間治めていたヴァーナル家の末裔だが、父の時代に戦に負けて天涯孤独の孤児となる。巧みな弁舌と腕っぷしで、王家の密使として活躍する。
傷心の猛将第一王子 アーディタ(ヴィクラム)
スンダラ王の長男で皇太子。チョーラ王朝の北方戦線の軍司令官として戦っている。勇猛な戦士だが、ふだんは丸腰の相手を殺すようなことはしない。幼馴染のナンディニとの恋に破れ、戦争に明け暮れている。
義に生きる賢人第二王子 アルンモリ(ジェヤム・ラヴィ)
スンダラ王の三男。チョーラ王朝の南方の軍司令官としてランカ島で戦っている。義に厚く、兵たちや民からの信望は絶大。後にラージャラージャ一世となり王朝を繫栄させる。
聡明なる王女クンダヴァイ(トリシャー・クリシュナン)
スンダラ王の娘。頭脳明晰で、政治に深く関わりながら、王国内の出来事に常に注意を払う。特にナンディニを警戒して、ライバル心を抱いている。
復讐の美女ナンディニ(アイシュワリヤー・ラーイ)
その出自が謎に包まれた王朝重臣のパルヴェート侯の若い後妻。ある事件からアーディタ王子と王朝を憎み、夫を陰で操っている。

PRODUCTION NOTE

インド史に名を刻む
チョーラ王朝とは
9世紀から13世紀にかけて、現在のタミルナードゥ州中部のカーヴェーリ川(ポンニ川)のデルタ地帯を本拠地として勢力を保持した。10世紀末〜11世紀前半の最盛期には北インドの一部やランカー島(現在のスリランカ)も領土とし、また東南アジア地域にも影響力を及ぼし、交易によって富を得る海洋帝国としての性格も持つようになった。

なお、それよりも前、紀元前3世紀ごろから紀元後3世紀ごろまでの南インドでは、チョーラ朝(現在のタミルナードゥ州中部)、パーンディヤ朝(同じく南部)、チェーラ朝(現在のケーララ州)が三つ巴でしのぎを削っていた。この古代タミル三王国のチョーラ朝はいつしか姿を消し、9世紀中ごろに再興したのが、本作に登場するチョーラ王家。血統的な繋がりは実際にはないが、自らを古チョーラ朝の末裔と称した。

チョーラ朝の最盛期は、1003年から1010年にかけてタンジャーヴールに壮麗なブリハディーシュワラ寺院を建てた中興の祖、ラージャラージャ一世に始まるとされている。本作の王家の次男、アルンモリが後のラージャラージャ一世であり、劇中の年代設定は、王朝が最盛期に至る前の不安定な時代、971-972年頃と言われている。
圧倒的な情報量で
インド一大ベストセラー
となった原作
1950年、インド独立の高揚もさめやらない時代、「カルキ」というタミル語の週刊誌で10世紀末のチョーラ朝を舞台とした歴史小説の連載が始まった。その「Poniyem Selvan(ポンニ河の息子)」は、瞬く間に大評判となり、1954年まで続く長期連載となった。著者のラーマスワーミ・クリシュナムールティは完結後しばらくして死去したが、翌1955年に5巻本の小説として刊行されてベストセラーとなり、また今日まで70年にわたって新しい読者を獲得し続けるロングセラーとなった。

ラーマスワーミは、フランスのロマン主義小説、特に「モンテ・クリスト伯」のアレクサンドル・デュマに影響を受けていたといわれており、登場するキャラクターは、主要人物で15人、全部で約50人にもなる。それら登場人物たちの波乱万丈の運命や、背景となった時代に関しての詳細な解説なども含んだ「Poniyem Selvan」は、全5巻2200ページ超に及ぶ大河小説で、さながら古代のタミル世界の百科事典ともいうべきものになっている。

そのタイトル「Poniyem Selvan」は「ポンニ川の息子」を意味し、登場人物の一人で後にチョーラ朝の中興の祖となるラージャラージャ一世のことを指す。ポンニ川とは、カルナータカ州とタミルナードゥ州を横断して流れ、下流デルタ地帯をインド有数の穀倉地帯としている南インドきっての大河で、今日ではカーヴェーリ川と呼ばれている。ラージャラージャ一世だけでなく、小説に登場する王家の人々は、全て歴史上の実在の人物がモデルとなっている。
困難を極めた
映画化への道のり
原作の「Poniyem Selvan(ポンニ河の息子)」はタミルの人々を虜にして、著名映画人により何度か映画化が試みられてきた。しかし、その度に原作の持つ膨大な情報量を予算内で処理しきれず、計画は現れては消えていった。1958年には当時のトップスターだったM・G・ラーマチャンドランが自らの監督・主演での製作を発表したが、彼自身が事故に遭ったことや資金調達の問題などで挫折した。マニラトナム監督も1980年代後半に映画化権を獲得して製作の準備作業を行ったが、やはり資金調達問題からお蔵入りとなった。それ以降、マニラトナムの悲願のプロジェクトとなった映画化は、2011年頃に再び浮上し、脚本が練られ、ヴィジャイ、マヘーシュ・バーブなどがキャストされることが決まった。しかし、変わらぬ資金難とロケ地での撮影許可の問題から結局それ以上進むことはなかった。

その後、2010年代後半の『バーフバリ』二部作に代表される超大作や、インドの多様な言語全てで観られる汎インド映画が南インド発でインド全土を席巻するようになり、ようやく機が熟したマニラトナムは、再度脚本に取り組み、2019年初からキャスティングをスタートした。皇太子役のヴィクラム、タイトルロールのジェヤム・ラヴィはスムーズに決まったが、その他のキャスティングは数多のスターの名前が挙がったものの難航した。中でも、スーパースターのラジニカーントは、敵役のパルヴェート侯を演じることを望んだが、ラジニのファンを刺激することを望まないマニラトナムは丁重に断ったと言われている。

CAST

ヴィクラムアーディタ
1966年、チェンナイ生まれ。少年時代から演劇活動を行い、その後、TVドラマや広告に出演しつつ俳優としての映画界入りを望むが、チャンスはなかなか訪れず、僅かな出演作もヒットにはならなかった。他の南インド映画界でのB級作品の脇役や吹き替え声優として過ごした約15年の下積み生活の後に、主演した異色作『セードゥ』(99)が爆発的なヒットとなり、一躍トップスターとなる。以降、『Pithamagan』(03・未)『Anniyan』(05・未)『ラーヴァン』(10)『デーヴィド 二つの物語』(13)など良作に恵まれる。『神さまがくれた娘』(11)の映画祭上映の舞台挨拶で来日もしている。
アイシュワリヤー・ラーイナンディニ
1973年、マンガロール生まれ。大学時代からモデル活動を始め、1994年にはミス・ワールドに輝く。マニラトナム監督の『ザ・デュオ』(97)で映画デビュー。以後は主にヒンディー語映画に出演し、日本でも公開された『ミモラ 心のままに』(99)などヒット作に恵まれて、「ボリウッドの女王」としての地位を確立していく。日本では『ジーンズ 世界は2人のために』(98)『ロボット』(10)『ロボット2.0』(18)等が劇場公開されている。インドを代表する女優として、2003年にカンヌ映画祭の審査員に指名されて以降、同映画祭の常連となり、『ピンクパンサー2』(09)『マレフィセント2』(19)等ハリウッド作品にも出演している。
ジェヤム・ラヴィアルンモリ
1980年、タミルナードゥ州生まれ。父は映画の編集者、兄は映画監督で、子役を続けながら演劇学校で学ぶ。兄が監督する『Jayam』(02・未)でデビュー。同作の成功により、「ジェヤム」を名前の一部とする。マイペースな出演活動を続けたが、2015年のスリラー『Thani Oruvan』(未)の大ヒットによりトップ男優の一人となった。トライブの青年役の『Peranmai』(09・未)、女装愛好の犯罪者を演じた『Ameerin Aadhi Bhagavan』(13・未)など実験的・意欲的な役のチョイスをしている。
カールティデーヴァン
1977年、チェンナイ生まれ。父は1960~80年代にヒーロー俳優として活躍したシヴァクマール。兄のスーリヤは、ヴィジャイ、アジット・クマールと並ぶ、タミル語映画界のスーパースター御三家の一人。マニラトナム監督のもとで助監督を経験した後、『Paruthiveeran』(07年・未)でデビューし、その演技が高く評価された。以降は、コメディーや、身体能力の高さを発揮したハードなアクションなど、様々なスタイルの作品に出演して芸域を広げてきた。日本でも公開された『囚人ディリ』(19)など、リアリスティックでシリアスな作品でアクションを披露することが多い。
トリシャー・クリシュナンクンダヴァイ
1983年、チェンナイ生まれ。モデルとしてTVコマーシャル等に出演し、1999年にはミス・チェンナイに選ばれた。2002年に『Mounam Pesiyadhe』(未)で主演デビュー。ヴィクラムと共演した翌年の『Sammy』(未)がヒットし、『Varsham』(04・未)でテルグ語映画にも進出。以降はタミル語とテルグ語の両映画界で売れっ子となる。2015年の『Yennai Arindhaal』(未)での臨月の女性や、日本公開された『❜96』(18)での母親の役など演技の幅を広げている。
ヴィクラムアーディタ
1966年、チェンナイ生まれ。少年時代から演劇活動を行い、その後、TVドラマや広告に出演しつつ俳優としての映画界入りを望むが、チャンスはなかなか訪れず、僅かな出演作もヒットにはならなかった。他の南インド映画界でのB級作品の脇役や吹き替え声優として過ごした約15年の下積み生活の後に、主演した異色作『セードゥ』(99)が爆発的なヒットとなり、一躍トップスターとなる。以降、『Pithamagan』(03・未)『Anniyan』(05・未)『ラーヴァン』(10)『デーヴィド 二つの物語』(13)など良作に恵まれる。『神さまがくれた娘』(11)の映画祭上映の舞台挨拶で来日もしている。
アイシュワリヤー・ラーイナンディニ
1973年、マンガロール生まれ。大学時代からモデル活動を始め、1994年にはミス・ワールドに輝く。マニラトナム監督の『ザ・デュオ』(97)で映画デビュー。以後は主にヒンディー語映画に出演し、日本でも公開された『ミモラ 心のままに』(99)などヒット作に恵まれて、「ボリウッドの女王」としての地位を確立していく。日本では『ジーンズ 世界は2人のために』(98)『ロボット』(10)『ロボット2.0』(18)等が劇場公開されている。インドを代表する女優として、2003年にカンヌ映画祭の審査員に指名されて以降、同映画祭の常連となり、『ピンクパンサー2』(09)『マレフィセント2』(19)等ハリウッド作品にも出演している。
ジェヤム・ラヴィアルンモリ
1980年、タミルナードゥ州生まれ。父は映画の編集者、兄は映画監督で、子役を続けながら演劇学校で学ぶ。兄が監督する『Jayam』(02・未)でデビュー。同作の成功により、「ジェヤム」を名前の一部とする。マイペースな出演活動を続けたが、2015年のスリラー『Thani Oruvan』(未)の大ヒットによりトップ男優の一人となった。トライブの青年役の『Peranmai』(09・未)、女装愛好の犯罪者を演じた『Ameerin Aadhi Bhagavan』(13・未)など実験的・意欲的な役のチョイスをしている。
カールティデーヴァン
1977年、チェンナイ生まれ。父は1960~80年代にヒーロー俳優として活躍したシヴァクマール。兄のスーリヤは、ヴィジャイ、アジット・クマールと並ぶ、タミル語映画界のスーパースター御三家の一人。マニラトナム監督のもとで助監督を経験した後、『Paruthiveeran』(07年・未)でデビューし、その演技が高く評価された。以降は、コメディーや、身体能力の高さを発揮したハードなアクションなど、様々なスタイルの作品に出演して芸域を広げてきた。日本でも公開された『囚人ディリ』(19)など、リアリスティックでシリアスな作品でアクションを披露することが多い。
トリシャー・クリシュナンクンダヴァイ
1983年、チェンナイ生まれ。モデルとしてTVコマーシャル等に出演し、1999年にはミス・チェンナイに選ばれた。2002年に『Mounam Pesiyadhe』(未)で主演デビュー。ヴィクラムと共演した翌年の『Sammy』(未)がヒットし、『Varsham』(04・未)でテルグ語映画にも進出。以降はタミル語とテルグ語の両映画界で売れっ子となる。2015年の『Yennai Arindhaal』(未)での臨月の女性や、日本公開された『❜96』(18)での母親の役など演技の幅を広げている。

STAFF

監督・共同脚本・共同製作マニラトナム
1956年タミルナードゥ州生まれ。父が映画配給業、叔父と兄がプロデューサーという映画一家で育つ。1983年に『Pallavi Anu Pallavi』(未)で監督デビュー。『沈黙のラーガ』(86)で広く認められ、翌年の『顔役』は商業的にも成功した。その後『ロージャー』(92)で全国的に名声を高め、1992年のボンベイ大暴動を題材とした『ボンベイ』(95)は日本でも劇場公開され、その後『アンジャリ』(90)『ディル・セ 心から』(98)などが日本で公開されている。
現在は、映画祭での特集上映も組まれ、インドで最も評価される監督の一人として巨匠の地位を築いている。
音楽監督A・R・ラフマーン
1967年、チェンナイ生まれ。映画音楽作曲家の父R・K・シェ―カルを9歳の時になくし、経済的な苦境の中で育つ。4歳からピアノを習い始め、キーボード奏者として音楽界に入り、多くの音楽監督のもとで演奏する。TVCM音楽の作曲からキャリアをはじめ、1992年にマニラトナムから抜擢され『ロージャー』(92)の楽曲を手がけて大成功した。以降のマニの全作品に参加している。
マニラトナムの『ディル・セ 心から』(98)中の「チャイヤ・チャイヤ」をきっかけにアンドリュー・ロイド・ウェバーのミュージカル「Bombay Dreams」(02)を手がけることになり、さらに2008年の『スラムドッグ$ミリオネア』で米アカデミー賞の歌曲賞と作曲賞を獲得した。