

1980年代半ばのアーンドラ・プラデーシュ州中部、ゴーダーヴァリ川沿岸の⽥園地帯、ランガスタラム村。チッティ・バーブ(ラーム・チャラン)は、モーターを使って⽥畑に⽔を送り込むことを⽣業にする労働者。難聴で、他⼈の声がよく聞き取れない障碍を持っているが、さほど気にせずに毎⽇を楽しく暮らしている。彼は近所に住むラーマラクシュミ(サマンタ)に惚れて、調⼦はずれな求愛をする。⼀⽅、村は「プレジデント」を⾃称する⾦貸し兼地主のブーパティ(ジャガパティ・バーブ)によって⽜⽿られている。チッティ・バーブの兄で中東ドバイで働いているクマール・バーブ(アーディ・ピニシェッティ)は、プレジデントが好き放題にする故郷の村の有様を帰省した際に⾒て⼼を痛め、州会議員ダクシナ・ムールティ(プラカーシュ・ラージ)の⼒添えで、村⻑選挙に⽴候補して政治家として村の⽣活を改善していこうと思い⽴つ。

『マガディーラ 勇者転生』『RRR』の主演で人気沸騰中のラーム・チャランが自ら最高傑作のひとつと述べ、大スクリーンでの鑑賞をファンが待望・渇求する名作『ランガスタラム』。監督のスクマールは、寡作ながらじっくりと練り込んだ脚本によって知られる個性派で、現在最も注目を浴びる映画人のひとり。物語の舞台は、インド南東部の田園地帯に広がる「ランガスタラム村」。「プレジデント」を名乗る金貸しの村長に牛耳られ貧しさから逃れられない村人たちを救おうと、独り立ち上がる思慮深い兄クマール、そしてそれを支えるやんちゃで短気な弟チッティ。叛逆と復讐のドラマは、チッティが毒蛇を追うことから始まり、彼と周りの人々の運命は変転する。スター俳優一家に生まれたラーム・チャランが、スターオーラを捨てて村人役を好演し、インドの代表的な映画賞であるフィルムフェア賞や南インド国際映画賞などの主演俳優賞を軒並み獲得した。劇場ではロングランヒットとなり、公開年のテルグ語映画興収ではダントツの1位に輝き、2010年代テルグ語映画のベストの一つに数えられることになった。




娯楽大作のフォーマットを使い、
カースト問題、階級社会、抑圧を
見事に描き上げた。
信念をもって主人公を演じ、
最高の演技を見せた。
出演:ラーム・チャラン(RRR)、サマンタ(マッキー)、プラカーシュ・ラージ(ミルカ)
2018年/インド/テルグ語/174分/原題:Rangasthalam
日本語字幕:加藤豊
配給:SPACEBOX