イギリス・ロンドンで生まれ育った
インド系,パキスタン系の若者たちが
10万ポンドの賞金を目指し
ダンスバトル“グラウンド・ゼロ”に挑む!
アメリカの公開オーディション番組「ワールド・オブ・ダンス シーズン3」で2019年に優勝した「The Kings」や、「アメリカズ・ゴット・タレント」で2020年に優勝した「V.Unbeatable」など、近年、世界のダンスコンテストでインドのダンスグループが注目すべき成果を収めている。ダンス大会に挑む若者たちの情熱と友情を、インド映画界のトップ・コリオグラファーであり、映画監督のレモ・デソウザが描いた作品が、『ストリートダンサー』だ。
ヴァルン・ダワン(『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』)とシュラッダー・カプール(『サーホー』)をリードペアとして、インド映画界の伝説級のダンサー&コリオグラファーのプラブデーヴァーが、2人をつなぐ重要な役で登場する。さらに実際にトップクラスのダンサーとして活躍するキャストががっちりと脇を固め、劇中のコンペティションは、演技のレベルを超え、手に汗握るリアルなダンスバトルに仕上げられている。
舞台はロンドン。インド系の青年サヘージ(ヴァルン・ダワン)率いるダンスチーム「ストリート・ダンサー」と、パキスタン系の女性イナーヤト(シュラッダー・カプール)率いるダンスチーム「ルール・ブレイカーズ」はライバル同士で、街中で鉢合わせするたびに、火花を散らすダンスバトルを繰り広げていた。
そんなある日、10万ポンド(約1,800万円)の賞金が獲得できるダンスバトル「グラウンド・ゼロ」の開催が発表される。別々の目標のもとグラウンド・ゼロに参戦したサヘージとイナーヤトだったが、あるきっかけから友情が芽生え、同じ目的を持ち、コンペティションを勝ち進んでいく…。
監督:レモ・デソウザ Remo D'Souza
1974年、カルナータカ州バンガロール(現ベンガルール)で、ケーララ系の両親のもとに生まれる。本名は、ラメーシュ・ゴーピ・ナーヤル。父はインド空軍に勤める料理人で、自身も空軍に入隊することを期待され、グジャラート州にある空軍の学校で学ぶ。しかし12年生(日本の高校3年生に相当)で学業を終え、空軍には入隊せず、ムンバイに移り住む。映画やミュージックビデオを見ながら独学でダンスを習得し、1995年に『Rangeela(ギンギラ)』(監督:ラーム・ゴーパール・ヴァルマ/未)で共同コリオグラファーおよびバックダンサーとしてのデビューに漕ぎつける。2000年代の中頃から注目を集めるようになり、『若さは向こう見ず』(2013年/監督:アヤーン・ムカルジー)、『バジラーオとマスターニー』(2015年/監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー)の振付で、多くの映画賞を受賞した。映画監督としては、ベンガル語作品『Lal Pahare'r Katha(赤い丘の物語)』(2007年/未)でデビュー後、2013年に本作のシリーズ第1作目『ABCD: Any Body Can Dance(ABCD:誰だって踊れる)』(未)、2015年に『ABCD 2』(未)を発表した。他にもテレビのダンスリアリティーショーの審査員を務めるなど、実力と人気を兼ね備えたコリオグラファーとして活躍している。
◎日本で劇場公開・映画祭上映されたおもな作品
2010年 |
『ロボット』(振付) |
2012年 |
『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』(振付) |
2013年 |
『クリッシュ(Krrish 3)』 『若さは向こう見ず』(ともに振付) |
2014年 |
『結婚の副作用』(振付) |
2015年 |
『バジュランギおじさんと、小さな迷子』 『バジラーオとマスターニー』(ともに振付) |
2016年 |
『ハウスフル3』(振付) |
2016年 |
『フライング・ジャット』(監督) |
サヘージ役:ヴァルン・ダワン Varun Dhawan
1987年、マハーラーシュトラ州ボンベイ(現ムンバイ)で、パンジャーブ系の家庭に生まれる。父のデーヴィド、兄のローヒトは映画監督。映画助監督を経験後、『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』(2012年/監督:カラン・ジョーハル)で俳優としてデビューを飾る。デビュー時からダンスのスキルが高く、ダンスシーンが多い娯楽系作品に多く出演し成功を収めていたが、2015年にはシュリーラーム・ラーガヴァン監督が手がけた『復讐の町』でダークヒーローを演じ、批評家から高く評価された。「フォーブス」誌インド版のセレブリティ100人リストにランクインするほどの人気俳優。
◎日本で劇場公開・映画祭上映された作品
2012年 |
『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』 |
2014年 |
『ヒーローはつらいよ』 |
2015年 |
『復讐の町』 |
2016年 |
『ディシューム』 |
2017年 |
『バドリナートの花嫁』 |
イナーヤト役:シュラッダー・カプール Shraddha Kapoor
1987年または1989年に、マハーラーシュトラ州ボンベイ(現ムンバイ)で、パンジャーブ系の父とマラーター系の母のもとに生まれる。父はベテランの悪役・性格俳優のシャクティ・カプール。2010年に『Teen Patti(3枚のカード)』(監督:リーナー・ヤーダヴ/未)で俳優としてデビュー。ヒロインを演じた『愛するがゆえに』(2013年/監督:モーヒト・スーリー)が大ヒットし知名度を高め、2019年にはマルチリンガル作品『サーホー』(監督:スジート)に出演した。ヒンディー語映画界でも最も人気が高い女性俳優の一人で、インスタグラムでのフォロワー数は8600万人を超える。
◎日本で劇場公開・映画祭上映された作品
2013年 |
『愛するがゆえに』 |
2014年 |
『野獣一匹』 |
2016年 |
『フライング・ジャット』(カメオ出演) |
2018年 |
『ストゥリー 女に呪われた町』 |
2019年 |
『サーホー』『きっと、またあえる』 |
2020年 |
『シャウト・アウト』 |
ラーム・プラサード役:プラブデーヴァー Prabhu Deva
1973年、マイソール州マイソール(現カルナータカ州マイスール)でコリオグラファーの家庭に生まれる。幼時より南インド古典舞踊を学び、20歳ごろからダンサーとして映画出演するようになる。古典仕込みの美しい所作と、長い手足をゴムのように柔軟にしならせる超人的なダンスで注目を集めるとともに、俳優としても活動を始め、1994年の『Kaadhalan(恋しい人)』(監督:シャンカル/未)での演技で名を知られるようになる。本作でダンスを披露する場面で使われる曲「戦いだ(Humse Hai Muquabala)」は、『Kaadhalan』挿入歌のリメイク。1999年にドイツ・ミュンヘンで開催されたマイケル・ジャクソンのコンサートに、兄と女優のショーバナーとともにインドを代表するパフォーマーとして参加した。俳優、振付師、さらには映画監督として、言語圏を超えて活躍するスーパーダンサー。『ABCD』シリーズは全作に出演。
◎日本で劇場公開・映画祭上映された作品
1995年 |
『ボンベイ』(振付) |
2007年 |
『ボス その男シヴァージ』(振付) |
2010年 |
『ロボット』(振付) |
2011年 |
『秘剣ウルミ バスコ・ダ・ガマに挑んだ男』(出演) |
2013年 |
『ラームが村にやってくる』 『Rラージクマール』(ともに、監督・カメオ出演) |
ミア役:ノーラー・ファテーヒー Nora Fatehi
1992年、カナダ・ケベック州モントリオールで、モロッコ系カナダ人の家庭に生まれる。インドの文化に憧れを持ち続け、2014年にヒンディー語作品『Fugly(醜悪)』(監督:カビール・サダーナンド/未)で俳優としてデビューする。『バーフバリ 伝説誕生〈完全版〉』(2015年/監督:S・S・ラージャマウリ)や『ロッキー・ハンサム』(2016年/監督:ニシカーント・カーマト)、『ストゥリー 女に呪われた町』(2018年/監督:アマル・カウシク)などにダンサーとして出演。ベリーダンスのスキルを活かして演じた『Satyameva Jayate(真実のみが勝利する)』(2018年/監督:ミラープ・ジャヴェーリー/未)で大きな注目を集めた。
◎日本で劇場公開・映画祭上映・配信された作品
2015年 |
『バーフバリ 伝説誕生〈完全版〉』 |
2016年 |
『ロッキー・ハンサム』 |
2018年 |
『ストゥリー 女に呪われた町』 |
トップコリオグラファーが夢に描いていた「ダンス映画」
本作は、ダンス映画『ABCD』シリーズの第3作目にあたる。本作を手がけたレモ・デソウザ監督は、コリオグラファーから監督へと活躍の場を広げながら、ダンス映画をつくることを長年夢見てきたが、多くの業界人から「ヒットしない」と断言され、協力を得られずにいた。ようやくプロデューサーを見つけ、ダンスバトルTV番組の優勝者などを俳優として起用し、シリーズ1作目『ABCD: Any Body Can Dance(ABCD:誰だって踊れる)』(2013年/未)を監督し、ヒットさせた。続いて、ヴァルン・ダワンとシュラッダー・カプールをメインキャストに起用し、ダンスコンテストに挑む若者たちの姿を描いた実話ベースの2作目『ABCD 2』(2015年/未)もヒットとなった。製作会社が変わり以前のタイトルが使えなくなった関係で、本作のタイトルからは「ABCD」が外れることとなったが、ダンスコンテストに挑む青年たちが主人公である点は、シリーズ1作目から変わらない。プラブデーヴァーは1作目から出演を続けている。
ダンスコンテストへの熱意が高いインド
レモ・デソウザ監督は監督・コリオグラファーとして活躍する傍ら、テレビのダンスコンペティション番組の審査員も務めている。インドのテレビ局では、「ダンス・インディア・ダンス」、「ダンス・ディワーニー」など、数多くのダンスリアリティー番組が放送されており、いずれも人気がある。こうした番組で優勝し、パフォーマーとしての一歩を踏み出す出場者も多い。サマイラ役を演じたワルティカー・ジャーは、「ダンス・インディア・ダンス」での出場がきっかけとなり、レモ監督からオファーを受けて本作での映画デビューが実現した。
さまざまなスタイルのダンス
本作では、実力ある現役ダンサーたちが脇をかためるキャストとして起用されている。それぞれが異なるスタイルのダンスを踊っており、ヒップホップ、ロボットダンスなど多種多様だ。コンテストのクライマックスシーンで、アムリンダルたちが叩く太鼓に合わせて踊られるダンスは、インドとパキスタンにまたがるパンジャーブ地方の収穫を祝う民族舞踊「バングラー(Bhangra)」。パンジャーブ地方は1947年のインド・パキスタンの分離独立時に2つに分けられ、イスラーム教徒が多い西部はパキスタンに、ヒンドゥー教徒とシク教徒が多い東部はインドとなった。本作中でサヘージとイナーヤトが自然にバングラーを踊るシーンは、彼らのルーツがパンジャーブ地方にあることを表している。
監督:レモ・デソウザ(『フライング・ジャット』)
出 演
ヴァルン・ダワン(『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』)
シュラッダー・カプール(『サーホー』)
プラブデーヴァー(『Rラージクマール』)
ノーラー・ファテーヒー(『バーフバリ伝説誕生 完全版』)
2020年/インド/ヒンディー語/142分/G原題:Street Dancer 3D
日本字幕翻訳:佐藤裕之 配給:SPACEBOX
©Remo D’Souza Entertainment©T-Series©UTV Motion Pictures